性病について

クラミジア感染症

クラミジア感染症とは

日本や世界で最も多い性感染症です。子宮からお腹の中へと感染が広がると、不妊症の原因になることもあります。妊婦健診のときに必ず検査をしますが、約5%の方が感染していることがわかっています。

どんな症状が出る?

症状としては、おりものの増加、不正出血、下腹部痛などが見られますが、何も症状が出ない人も半数近くいます。

 

性感染症なので、症状が何もなくても、パートナーも検査が必要です。お互いがクラミジアに感染していないことが確認できるまでは、性行為は禁止になるので注意しましょう。

検査方法

主に内診で調べます。子宮の入り口を綿棒でこするだけの検査なので、痛みはほとんどありません。オーラルセックスの普及によって咽頭に感染していることもあるため、のどの検査も必要です。その場合は、うがいをして調べます。どちらも結果が出るのに1週間かかります。

 

クラミジアに感染している人の1割は、淋菌にも感染していると言われています。そのため、クラミジアが心配な時には淋菌の検査も受けることをおすすめします。

 

治療方法

抗生物質を処方します。1日飲んでいただくだけで治ることがほとんどですが、それでは治らないことも時々あるので、3週間後に治っているかどうか、必ず検査を受けましょう。治っていない場合は、別のタイプの抗生物質を処方します。

淋菌感染症

淋菌感染症とは

クラミジアと同様に、性行為によって感染する病気で、子宮からお腹の中へと感染が広がって不妊症の原因になることもあります。また、オーラルセックスの普及により、咽頭に感染していることもあるため、咽頭の検査も必要です。

どんな症状が出る?

症状としては、おりものの増加、不正出血、下腹部痛などが見られますが、何も症状が出ない人も半数近くいます。クラミジアと同様に、パートナーの方の検査も必要です。

検査方法

クラミジアと同じく、内診で調べます。子宮の表面を綿棒でこすって調べるので、痛みはほとんどありません。のどの淋菌は、うがいで調べることができます。どちらも結果が出るのに1週間かかります。

 

治療方法

点滴、もしくは筋肉注射をします。1回の治療で終了しますが、まれに薬が効かないことがあるので、治っているかどうかの確認は必ず行いましょう。

梅毒

梅毒とは

スピロヘータという細菌に感染することで起こる感染症です。症状のない期間と症状のあらわれる期間が交互におとずれ、症状があらわれる度に深刻化します。

 

ただし、症状が全く出ない「無症候性梅毒」のこともあり、見ただけでは診断がつけられないことも多いので、心配なときはお気軽にご相談ください。

どんな症状が出る?

4段階でさまざまな症状があらわれます。

第1期
(感染から約3週間後)
デリケートゾーン周辺に痛みのないシコリができたり、太ももの付け根にあるリンパ腺が腫れたりしますが、それらの症状は数週間で自然に消えます。 
 第2期
(感染から約3か月後)
 全身に痒みも痛みもない発疹があらわれます。また、かたく盛り上がった赤色のイボがデリケートゾーン、手・足・顔などにあらわれ、3か月~3年ほど続きますが、自然に消えます。その後無症状の時期がしばらく続きます。
 第3期
(感染から約3年後)
 全身にシコリがあらわれ、表面のもろい潰瘍をつくります。病原体が骨まで広がると激しい痛みで眠れない日が続くこともあります。
 第4期  手足の感覚の喪失や、心臓や血管、脳に重度の障害が発生し、死に至ることもあります。
検査方法

血液検査で調べます。約1週間後に結果がわかります。

 

治療方法

抗生物質の内服にて治療しますが、治療期間として数か月はかかります。途中で治療を止めてしまうのは危険なので、根気強く通院してもらうことが大事です。治らない病気ではないので、頑張って治療しましょう。

性器ヘルペス

性器ヘルペスとは

性行為などで性器にヘルペスウイルスが感染することにより、引き起こされる感染症のことを言います。

どんな症状が出る?

初めて発症する時は、かなり痛みが強く出ることがあります。皮膚がえぐれる「潰瘍」になり、歩行時・排尿時に痛みが伴います。痛みがひどい時には入院が必要になる場合もあります。再発時は、なんとなく違和感を感じるものの、軽い痛みで済むことが多くなります。

検査方法

痛い部分を見るだけで、おおよその診断をつけることは可能ですが、判断に迷うときは痛い部分を綿棒で拭う検査をすることもあります。

 

治療方法

抗ウイルス薬を内服または点滴して治療します。それと併せて軟膏も処方することもあります。しかし、一度体の中に入ったウイルスをゼロにすることは不可能です。そのため、一度ヘルペスに感染してしまうと、体調を崩して免疫力が低下するときに再発するケースも少なくありません。再発する時には、なんとなく違和感を覚えることが多いので、その段階で早めに受診すれば、症状を軽く抑えることもできます。

 

何度も再発してしまう方には、毎日お薬を飲み続けて、再発の確率を下げる治療法もあるので、ご相談ください。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマとは

HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染によって、陰部などにイボができる病気です。

どんな症状が出る?

イボができるだけで、痛みやかゆみなどの症状はあまりありません。

検査方法

イボを見るだけで診断がつくことが多いですが、イボを切り取って顕微鏡で見る検査をすることもあります。

 

治療方法

外科的に電気メスで焼くこともありますが、傷跡が痛みやすいので、当院では軟膏を塗って治療します。再発しやすい病気ですので、気長に治療することが必要です。

カンジダ

カンジダとは

カンジダとは真菌の一種で、普段は腟の中にいても何も悪さをしません。しかし、風邪や疲労などで免疫力が低下して他の正常な菌が減ってしまうと、代わりにカンジダが増えてしまってかゆみの原因になります。

どんな症状が出る?

デリケートゾーンがかゆくなるほか、おりものが白いポロポロした状態になります。それほどカンジダが多くないときには、白くてやや水っぽいおりものになることもあります。ひどくなると、デリケートゾーンの肌が真っ赤に荒れてしまい、痛みも伴います。何度も再発しやすいのが特徴ですが、完全に再発を防ぐ方法は今のところありません。

検査方法

腟分泌液を採取して検査をします。

 

治療方法

抗真菌剤やクリームなどを処方します。

麻疹

麻疹とは

麻疹は麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は大変強く、感染者の近くにいれば、かなりの確率で感染してしまいます。

 

麻疹に対して免疫を持たない人が感染した場合、10~12日間の潜伏期を経て発症し、カタル期(2~4日間の発熱、倦怠感、咳など)、発疹期(3~5日間 発熱と全身の発疹)を経て回復します。

 

先進国であっても麻疹患者約1,000人に1人の割合で死亡する可能性があります。日本でも2000年前後の流行では年間約20~30人が死亡しました。

 

唯一の有効な予防法はワクチンの接種であり、2回のワクチン接種により、麻疹の発症のリスクを最小限に抑えることが期待できます。 ※2

妊娠中の麻疹感染は特に危険

妊娠中に感染すると、流産や早産を引き起こす可能性があります。

Eberhart-Phillips JE. et al. Measles in Pregnancy: A Descriptive Study of 58 Cases. Obstet Gynecol. 1993 Nov;82(5):797-801.

この論文では、58人の妊娠中に麻疹にかかった妊婦さんのうち、60%(35人)が入院(15人は肺炎で入院、2人は死亡)
31%(18人)が流早産となりました。(5人が流産、13人が早産)

妊娠中の麻疹感染はかなりリスクが高いと言えます。

実際に日本国内では、2000年~2001年に妊娠中に麻疹感染した妊婦さん8人のうち、3人が流産・死産という結果になっています ※7

 

麻疹ワクチンについて

効果

ワクチン1回接種による免疫獲得率は93~95%以上、2回接種による免疫獲得率は97~99%です。 ※2

 

副作用

ワクチンで度々問題になるのは「副作用」のことでしょう。しかし、下の表を見てもらった通り、ワクチンを接種した方が様々な病気に感染する確率は下げることができるのです。

ワクチンさえ打てば大丈夫、とは言えません。ワクチンは安全です、とも言えません。

しかし、トータルで考えれば、ワクチンを接種した方がメリットが大きいのはわかっていただけるのではないでしょうか。

   感染 ワクチン
ショック (全ての薬に可能性あり) 0.1%未満 ※3
血小板減少性紫斑病 心拍確認
予定日決定
100万人に1人 ※3
急性散在性脳脊髄炎  10万人に0.8人以下 ※5 なし ※6
脳炎 1,000人に1人 ※2 100万人に1人以下 ※3
亜急性硬化性全脳炎※1  数千~数万人に1人 ※1,3 なし ※1
肺炎 6% ※2 なし
麻疹症状  1週間、発熱・発疹 ※2 8%に発熱、6%に発疹 ※2

※1:亜急性硬化性全脳炎ガイドラインより  http://prion.umin.jp/guideline/guideline_sspe.html

感染して数年して発症し、運動障害・知能障害が進行して、治療法が無く死に至る可能性が高い。

※2:国立感染症研究所HPより https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html

脳炎:麻疹による2大死因の一つ。 発疹出現後数日して発症し、60%は完全に治るが、25%は後遺症が残り、15%は死に至る。

肺炎:麻疹による2大死因の一つ。 乳児死亡の60%は肺炎が原因。

※3:麻疹ワクチン 添付文書より

※4:日下奈津子 他 :ワクチン接種後に発症した特発性血小板減少性紫斑病の2例. 仙台市立病院医誌 29,55-60,2009

https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p055-060%2029.pdf

※5:「10万人に0,8人」というのは麻疹に限らず、日本国内で発症する急性散在性脳脊髄炎全てについて。

山口結 他: 我が国における小児急性散在性脳脊髄炎、多発性硬化症の現状. 脳と発達 42,227-229,2010

※6:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性散在性脳脊髄炎」より

※7:Chiba ME, et al. Measles infection in pregnancy. J Infect. 2003 Jul;47(1):40-4.

HIV

HIVとは

HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことです。HIV感染後は免疫力が低下するため様々な病気にかかりやすくなります。免疫細胞低下によって発症した状態がエイズです。
HIV感染は感染力のある体液が粘膜に触れる(付着する)ことで感染します。

HIV検査について

HIVに感染している場合、風邪の症状に似た発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、皮疹、筋肉痛、頭痛、下痢等がありますが無症状の方もいます。
そのため、エイズ発症まで感染に気づきにくく、相手が感染していることも分かりません。
早期発見が重要になりますので、定期的な検査をおすすめします。

一人ひとりの患者さんに向き合いたい

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